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第2特集 経営計画について、いろいろ勘違いしていませんか?

[2007年12月12日]

もっと儲かる「経営計画書」の作り方が分かった!

もっと儲かる 「経営計画書」のつくり方が分かった!

FANアライアンス代表取締役 広瀬元義

社長の夢を実現し、継続的な黒字経営を続けるなら、経営のセオリーを学ばなければならない。
そして、何よりも「経営計画書」が不可欠。しかし、数字だけの予算書や、理念先行の経営計画書では、実際の経営には役に立たず、まさに「絵に描いた餅」と同じになってしまう。
このように「絵に描いた餅」を掲げただけの経営者や、経営計画書が何の活力をもたらさない会社をたくさん見てきたことから、私は『経営計画 もっと儲かる経営計画のつくり方』という書籍を出版した。
今回は、2007年11月21日に開催したセミナー「黒字経営と事業発展のための『経営計画書』の作り方」のなかからエッセンスを本誌にてお届けする。

FANアライアンス代表取締役 広瀬元義
会計事務所のネットワークを展開する(株)FANアライアンスを主宰。代表を兼務する系列会社の(株)アックスコンサルティングでは、中小企業や会計事務所の経営コンサルティング、Webコンサルティング、出版事業等を手掛けている。著書は『イン・ザ・ブラック』(あさ出版)など多数。

「経営計画書の目的とは何か?」。読者の皆さんは、この特集を読む前に一度じっくり考えてみよう。

実は、経営計画書の目的とはいたってシンプル。「継続的な黒字会社をつくるため」にほかならない。黒字経営を続けるために、全社一丸となって行動する際の共通の羅針盤になるのだ。

私はコンサルティングの業務を通じて、数多くの中小企業をみているが、残念ながら経営計画を策定している会社でも、計画をつくることに重点を置き、それが目的となってしまっているようなケースをよく見かける。「経営計画書をつくって発表したけれど、後は机の中」では「絵に描いた餅」にもならない。経営計画書はつくるものではなく、活かすものなのだという認識を、この際持ってもらいたい。

もう一つ、経営計画書をつくる際に頭にたたき込んでほしいのは「目標を持つことの大切さ」である。

私は年末になると「今年できたこと」と「できなかったこと」を5つずつ紙に書いてみる。これをお客さまや知人にも聞いてみるのだが、すらすらと答えられる人は非常に少ない。それはなぜか? 目標がないからだ。

「ウサギとカメ」の話を例に出すと、カメはゴールという目標を見たから勝ち、ウサギは相手であるカメしか見ていなかったから負けたのだ。これを教訓として学ぶ必要があるだろう。

目標がないと、自分がとった行動がよかったのか悪かったのか、きちんとした評価ができない。だから、経営計画書に具体的な数字目標と行動目標を書き入れていくことが大切なのだ。


経営計画書に関する5つの勘違い

ここでは、経営計画書をつくる際に陥りやすい「5つの勘違い」を、例を挙げて紹介する。

(1)「予算書」は経営計画書ではない

決算書など会社の資料を社長が会計事務所に持ち込み、パソコンを前に税理士さんが売上や利益などさまざまな目標数値を決め、これで「はい、経営計画書ができました」というパターンをよく見かける。

これは残念ながら、経営計画書の一部にあたる「予算書」に過ぎない。予算書をもとに実績を管理する「予実管理」が経営計画だと勘違いしている人が、一般企業の経営者にも会計事務所にも多く見受けられる。

確かに、予算と実績を確認する予実管理は経営には必要である。しかし、予実管理は経営計画のすべてではない。設定した予算に対し、目標通りの利益を生むために社員がどのように行動するのかを掲げた「行動計画」が必要なのだ。

行動計画は以下のような課題や目標を決めることが大切である。「自分たちは何を社会に提供するのか」「何を利益源にするのか」「どんなお客さまを相手にするのか」「期間内にどんなことを達成するのか」。このような行動計画と現実を照らし合わせることによって、社員は自分たちの今の状況が判断できるのである。

(2)社長が一人でつくるものではない

年度の初めに社長がつくった経営計画を丸一日かけて大々的に発表して、社員に発破をかけるケースをよく耳にする。それを座って聞いている社員は、発表会が終わってしまえば経営計画書の中身をろくに読まずに机の奥にしまってしまう。これでは、せっかく経営計画書をつくっても、目標達成は難しい。

社長が決めるのは数値目標と「来期はこの商品でいく」「次のこのエリアを開拓する」「顧客ターゲットとしてこの層を狙う」といった大まかな方針まででいい。それをもとに各部門長や社員は部門や個人の目標数値や行動計画を立てるとよい。

全社的な目標を達成するために、実際に行動するのは社員にほかならない。社員と社長が一緒になって経営計画書をつくることで、経営計画そのものを共有することができ、目標を達成したときには喜びを分かち合えるのだ。

(3)年に一度つくって”発表“では、目的は達成されない

経営計画を年度の初めに発表することはもちろん大事なこと。しかし、それだけでは目標は達成されない。経営計画の発表はゴールではなく、あくまでもスタートなのだから。

計画通りに事業が進み、目標通りに各経営数字が達成できれば、それに越したことはないが、これだけ物事が目まぐるしく動く現代は、計画通りに進むこと自体が極めて難しい。だから、極端なことをいうと毎週でも経営計画通りに実績が進んでいるか見直す必要がある。

 ただ、毎週計画を見直すのも正直なところ現実的ではない。よって、3ヵ月分にあたる四半期ごとに経営計画を見直すことが望ましい。
 
 四半期ごとに計画の進行状況を確認する。目標と実績に隔たりがある場合には、問題点を洗い出し、軌道修正を施す。経営計画書はつくって終わりではない。実情の変化に合わせて柔軟に変更させることではじめて、経営の羅針盤となり、経営内容も計画に近づくものなのだ。

(4)経営理念のない経営計画書では意思の統一が図れない

経営計画書の中に、必ず入れるものに「経営理念」がある。経営理念とは、社
長の熱き思いを言葉にすること。言い換えれば、企業活動の基本となる考え方にあたる。
大企業から中小企業まで、経営理念はさまざま。「社会貢献」「顧客第一」「サービス(技術)の創造」など実に多くの言葉が使われているが、主に「ミッション」「ビジョン」「バリュー」の3つに大別できるだろう。

ミッションとは、会社の役割と使命。単なる業務内容ではなく、その先にある社会的役割、つまり社会とどのようにかかわっていくかを表す。例えば、引っ越しの会社なら「新しい住環境の整備」、製薬会社ならば「世界中から病気をなくす」というように、可能性に満ちた言葉を使うとよいだろう。

ビジョンは展望。将来の会社の姿や目指す方向を指す。「5年後に年商30億円」「和菓子の分野で地域ナンバー1」など、社員のやる気を駆り立てるような具体的な展望を表すとよい。

バリューは全社共通の価値観。どんな考え方で事業を営むのかを示す言葉を指す。これは経営理念の3要素で最も重要。バリューを共有して考えを統一しないと、相乗効果を発揮できないからだ。すべての企業活動は、このバリューが大前提にある。

バリューが企業から失われるとどうなるか? 社員の考えがバラバラになり、カオス状態に陥る。会社にまとまりがなくなり、一度つまずくと、一気に経営が傾いてしまうのだ。(前ページ図参照)

よく、会社を創業して間もない社長から「経営理念をどうつくったらいいのか?」と相談を受けることがある。頭を悩ませる気持ちは理解できるが、最初は未熟な言葉でも全然構わない。「こんな会社にしたい」という社長の思いを言葉にすることに意義があるのだから。時を追うごとに少しずつ変えて完成へと近づければいいだろう。

(5)目標数値を「売上」から決めるのは順番が逆

会社の経営数値として、真っ先に思い浮かぶのは売上高。経営計画を立てる際、目標数値を売上高から決めてしまいがちだが、それでは順番が逆だ。

単年度の経営計画づくりは、いくらの利益を会社に残すかを決めることが出発点になる。したがって、税金などすべてが差し引かれて、会社が自由に使えるお金にあたる「当期利益」の目標を決めることが先で、売上目標はいちばん最後でいい。

もし、売上目標だけが先行した場合、会社はどうなるか。例えば、年商2億円社員10人の会社が、次期決算の売上目標を2億5000万円にしたとする。粗利益は売上2億円に対して1億円だったが、次期は売上が目標に達したものの、無理な販売がたたり粗利が9000万円にダウン。社員一人あたりの粗利も1000万円から900万円に減少。実質的に業績が悪化したのに社員は「売上が増えたのだからもっとボーナスが欲しい・・・」ということになってしまう。これではまったく意味がない。

売上目標ばかりに目が行くと、経営に影を落とすことは明らか。当期利益をはじめ、経常利益、粗利益など利益目標に着目した予算設定を心掛けることが、中小企業が生き残る道といえるだろう。


経営計画は年間スケジュールを立てよう

経営計画を立てる際には、年間を通したスケジュールを組むことが欠かせない。ここでは分かりやすいように1月から事業年度が始まる12月決算の企業をベースに例を挙げる。

1月の新事業年度が始まるときに、その年の経営計画を発表する。その2、3ヵ月前に社長は大きな経営方針を社員にリリース。それに基づいて社員が部門別、個人の目標と具体的な戦術を立てる。部門間で計画や目標のすり合わせをして、全社の経営計画としてまとめ上げ、1月に発表する。(前ページ図参照)

新事業年度がスタートしたら、3月末から4月初めに経営計画の進み具合の確認と見直しを実施。こうした反省会や検討会を3ヵ月(四半期)ごとに行う。

四半期ごとの検討会では、目標数値と実績との比較、前年同期など過去の数値と実績との比較をする。この2つの数字の対比で計画の進捗状況を確認する。これが経営計画を活用するポイントともいえるだろう。


会計事務所の正しい活用が儲かる経営計画書のカギ

最後に、経営計画書をつくる際、会計事務所をどのように活用すればよいかを説明する。

経営計画書の作成に関して、会計事務所や税理士のサポートは不可欠。決算書を読みこなし、そこに並んでいるさまざまな数字を目標に落とし込むのは、会計の知識に疎い社長では、まず難しいからだ。

だからといって、会計事務所が主役になっては、経営計画書が自社のものという意識が芽生えない。あくまでも会計事務所はパートナーに徹して、経営計画書の作成をサポートする立場でいることが求められる。

そして、経営計画は毎年引き継いでデータを蓄積する必要があるので、経営計画専用ソフトを導入し、会社主体で計画を立てることが望ましい。

現在、お願いしている顧問税理士に経営計画書の作成を頼む際、次の3つの質問をしてみるとよい。

ひとつ目は「これまで経営計画書作成の指導を中小企業にしたことがあるか?」。
2つ目は「経営計画書をつくる目的は何か?」。
3つ目は「自分の会計事務所では経営計画を立てているか?」。これで、経営計画書の作成を会計事務所に頼んでいいか選別できる。

ひとつ目の質問で「経営計画書の作成指導をしたことがない」という会計事務所は論外。2つ目の質問の答えはもちろん、冒頭で語った「継続的な黒字会社(儲かる会社)をつくるため」。こう答えられない会計事務所は、残念ながら「経営」というスタンスで企業に携わっていないだろう。 また、ひとつ目の質問で「指導をしたことがある」と答えた会計事務所でも、3つ目の質問で「事務所の経営計画を立てていない」と答えたら、経営計画書の作成は見送ったほうがよい。自分で経験していないものを指導しても、まったく説得力がないからだ。

これまで、中小企業の目線に立った経営計画に関する書籍はほとんどなかった。そこで私は今年5月に『経営計画』という書籍を出版した。おかげさまで地道にロングセラーを続けている。この書籍が経営計画書をつくる上での基本的なテキストになってくれれば幸いである。

経営計画書の作成をサポートする際、顧問税理士に頼むのが最も手っ取り早い。しかし、上記にある3つの質問で引っ掛かってしまうケースも想定される。

もともと、税理士は税務・会計、記帳代行を主な業務としている。なので、決算数字を「損」か「益」かという観点でしか見ることができず、利益が出ればいくら税金を払うかということにしか興味がない税理士が大半を占めるといってもよい。

だから、顧問税理士が上記の3つの質問で引っ掛かってしまったら、経営計画書の作成だけを別の税理士に頼むか、もしくは顧問税理士を替えてしまうことをお勧めする。

しかし、一口に会計事務所といっても、医者のように内科、外科、産婦人科などと分かれていないので、一目では違いが分からないだろう。もし、どの会計事務所にしようか迷っている場合は、FANアライアンスに加盟している会計事務所に相談してみよう。どの事務所も経営計画について当特集に書かれているスタンスにのっとり、中小企業の黒字経営をサポートしている。

FANアライアンス本部までご連絡いただければ、御社のお近くの会計事務所をご紹介いたします。お気軽にご相談ください。

FANアライアンス代表取締役 広瀬元義
「経営計画 もっと儲かる経営計画書の作り方」あさ出版 定価1,200円(税別)
右ページで経営理念の立て方から経営計画を実行するための秘策を解説。
左ページでは図版になっており、経営計画による会社の設け方を分かりやすく説明している。まさに「経営計画の教科書」的存在。

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