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オーナー社長だからできる「節税と資産づくり」 Vol.2

[2007年12月12日]

節税と資産づくり

役員給与の適正な金額を算定しよう!

税理士法人児玉税経・代表税理士 児玉博利

『ノウハウを学んでいるのに、なぜ、儲からないのか?』。株式会社ワコルダー代表取締役・吉井亮介氏の著書のタイトルを読んでドキッと感じた経営者は少なくないだろう。同じノウハウを学んでも、儲かる人と儲からない人の両方のケースが存在する。その違いはどこにあるのか? なぜ、ノウハウを学んだだけでは業績は向上しないのか? 吉井氏にその理由と、中小企業がノウハウを使って儲ける方法について語っていただいた。

児玉博利氏

会社の利益額とのバランスを考えよう

社長の役員給与は、どれくらいが適正額なのでしょうか?会社の利益との間でバランスがとれている金額ということになるでしょう。

たとえば会社の利益が1500万円あり、社長給与として2000万円を支払ったとします。すると、当然資金が足りなくなり、損益計算上も赤字になります。過去の剰余金で支払うことはできても、資金ショートは時間の問題です。こうなると、社長は過去に受け取った役員報酬の一部を会社に貸し付けることになります。「そこまでして…」と思うかもしれませんが、会社の利益額に対して社長給与が高すぎるという会社は結構あるのです。このようなケースでは、やはり社長給与を減額すべきです。資金が足りなくなってから気づくのではなく、月々の月次損益計算で考えていかなくてはならない問題です。

個人で納税したほうが得か、法人で納税したほうが得かという問題があります。いずれが得かは、税金のバランスを考えて決めましょう。

社長給与として納税するほうが税金が少なくて済むのであれば、会社から支給された社長給与の手取り分を貯蓄して、会社の業績が苦しくなったときは、会社に貸し付けるようにします。

社長は会社の資金繰りを常に意識しなくてはなりません。サラリーマンの給与と社長の給与は違います。社長の給与が1000万円であれば、サラリーマンの給与として500万円を支給されたくらいの感覚を持たなくてはいけません。社長の個人資産を会社につぎ込むことを覚悟しなければならないのが、会社の社長だからです。ですから、税金の流出は極力少なくなるようにしなければなりません。

給与額には社長の考えが反映される

社長の会社経営に対する考え方はさまざまです。会社には極力利益を残したくないので、社長給与を多くしたいと考える社長もいます。会社に毎年安定した利益を残したいので、社長給与は少なくてもいいという社長もいます。これは、社長が目指している「会社像」によっても違ってくるでしょう。

会社を成長させ、どんどん大きくしてきたいのか、それとも大きくしないで個人会社として小ぢんまりやっていきたいのか。もちろん、どちらが正しいということは言えません。

ただ、確実に言えることは、社長給与の金額には、会社に対する社長の思いが如実に表れるということ。そして、社長が給与額に満足したとしても、結果的に赤字になってしまっては会社を経営していくことはできないということです。

社長給与を考える際には、会社という組織内のバランスを考える必要があります。社長給与を高く設定できる会社は、業績がいい会社です。そして、業績がよくなる仕組みをつくったのは社長です。だから、社長は高い給与を得ることができるのです。しかし、稼いだお金をすべて社長給与にしてしまうのも考えものでしょう。それでは、あまりにも社長個人の色が強い会社になってしまうからです。

得た利益は従業員にも還元しないと、社長給与と従業員給与のバランスが悪くなり、従業員のやる気にも悪影響を及ぼしかねません。会社を成長させていきたいのであれば、少なくとも従業員に損益計算を公表したいところです。

従業員にとっても、自分が会社のため、お客様のために努力したことが利益に結びついていることが実感できるわけですから、さらに業績が上がっていくのではないでしょうか。

役員給与を設定する2つの基準

会社の業績がよくなると、一般的に社長は自分の給与を上げるでしょう。しかし、会社が社長に対して支給する給与のうち、過大な部分については会社の損金にならないので注意してください。役員給与が過大かどうかは、次の「形式基準」「実質基準」で判定されます。形式基準、実質基準のどちらをもとにしても不相当に高額な金額が生じた場合は、どちらか多い金額が損金不算入となります。

(1) 形式基準
 定款の規定や株主総会などの決議によって、取締役、監査役などの報酬限度額や算定方法、金銭以外の資産の内容を定めている場合には、その限度額を超える額が過大な役員給与と判定されます。
 この形式基準は新会社法上の役員が対象で、税法上の役員は対象となりません。また、限度超過額は取締役と監査役とに分けて計算します。
(2) 実質基準
その役員の職務内容、法人の収益の状況、使用人の給料の支給状況、同じ事業を営む事業規模の類似する法人の役員報酬の支給状況から、不当に高額かどうかを判断します。

形式基準による過大役員報酬の判定については、実務上問題も少ないと考えられますが、実質基準については、その会社に合うものが必ずしも見つかるとは限りません。そんなときは、市販されている業種別、規模別の企業統計集などを参考にするとよいでしょう。

役員退職給与の適正額の計算

役員退職給与は原則として損金に算入されますが、不当に高額な支給額は損金不算入となります。また、役員退職給与の損金算入は、株主総会などの決議により、具体的に支給額が確定した事業年度か、支給した事業年度にすることが要件です。一般的に、役員退職給与の適正額の算定に最も多く用いられているのが、功績倍率基準方式です。これは次の式によって計算されます。

適正な退職金=退職直前の月額報酬×役員在位年数×功績倍率

創業社長などの場合、この式によって計算された役員退職金だけでは少なすぎることも考えられます。その場合は、役員退職金規定に「算出した金額にその30%を超えない範囲で加算することができる」といった文言を入れておく必要があります。


税理士法人児玉税経・代表税理士 児玉博利
1966年生まれ。「税理士はサービス業」という視点に立ち、開業支援、会社経営分析、相続税対策、売上増支援などを積極的に展開している。
FANアライアンス編著『オーナー社長だからできる節税と資産づくり』
あさ出版 定価1400円(税別)


[2007年12月12日] オーナー社長だからできる「節税と資産づくり」

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