特集 「黒字だから倒産しない」と思い込んでいませんか?
企業である以上は永続的な黒字経営を実現しなくてはならない。
しかし「黒字=倒産しない」「赤字=倒産する」なのか?
答えは「ノー」。
単に赤字になっただけでは倒産しないが、黒字でもキャッシュに行き詰まれは倒産してしまう。
企業が生き残る条件とは、ずばり「増運」であること。
売れば売るほど運転資金が増えていく会社、つまりキャッシュリッチな会社が永続するのである。
今回はキャッシュを蓄えて「増運」の会社になる方法について説明する。
中小企業の倒産が増加そもそも「倒産」とは?
東京商工リサーチがこのほど発表した2007年の企業倒産件数(負債額1000万円以上、私的整理含む)は、1万4091件と前年比6.3%増を記録。2年連続で増加し、4年ぶりに1万4000件を超えた。
そのうち、中小企業の倒産は1万4015件と全体の99%以上を占めた(前年比6.1%増)。原油や原材料価格の高騰によるコストアップを製品価格に転嫁させることが困難だったと推測される。
倒産の定義は何か。企業活動を行っていたが、支払うべき債務を払えなくなった状態を指す。どんなに直近の決算が黒字でも、キャッシュフローに行き詰まれば「勘定合って銭足らず」。そこで企業はジ・エンドなのだ。

なぜ、利益が出ているのに現金がないのか?
「なぜ、利益が出ているのに現金がないのか?」。経営者なら一度は思ったことがあるかもしれない。このからくりについて、非常に簡単な例で説明しよう。
ある取引で1000万円の売上を計上し、商品の仕入価格が700万円だったとする。粗利は残りの300万円。これがすべて現金での取引だったならば、手元に300万円が残ることになる。損益計算書にも1000万円の売上と300万円の粗利益が計上される。
しかし、1000万円の売上が掛取引で、1ヵ月後に入金になるのならば、どうなるだろう。取引が成立した時点では1000万円の売上も300万円の粗利も何も手元に入っていない状態。これでも、損益計算書上では1000万円の売上と300万円の粗利が計上される。ここが大きな落とし穴。もし、700万円の仕入分の支払いが先ならば、資金がショートすることになる。
売上と利益ばかりに目がいくと、キャッシュフローに行き詰まり、経営が自転車操業のような状態にもなりかねない。利益だけを重視していても、企業は存続できないのだ。
利益を出すことは企業にとって大事なこと。しかし、それ以上にキャッシュを生み出す力そのものを強化し、企業体力を増強する「キャッシュフロー経営」を意識する必要がある。キャッシュフローはすべての基本。中小企業が存続するには不可欠といってもよい。
キャッシュリッチになる6つのポイント
本誌2ページの任天堂の例ではないが、手元のキャッシュが潤沢だと、心置きなく商品開発に資金を投入できる。「Wii」「DS」といったヒット商品は、まさにキャッシュリッチのたまものといってもよい。では、キャッシュリッチになるにはどうすればよいのか。6つのポイントがある。
キャッシュフロー経営の事例 - マツダ -
資産売却で4年間に2000億円の債務圧縮に成功
大手自動車メーカーのマツダは1994年当時、5800億円を超える債務を抱えていた。
そこで「これ以上借入金を増やせない。黒字のキャッシュフローを生み出さなければ会社は破たんする」と、キャッシュフロー経営を実践した。
マツダのキャッシュフロー経営の最重要課題は債務の削減だった。不要な資産をリストアップして期限を決めて売却、現金化。運用していた有価証券の売却も、売却益を出すことだけではなく資金捻出を優先して実行していった。
それにより、98年3月期の有利子負債は3940億円まで圧縮。4年間で2000億円近い債務削減に成功した。
「資産を今売ったら損をする」「主要取引先の有価証券は売れない」などといった事情には目をつぶったことが功を奏したのだ。
●プロフィール
(株)アックスコンサルティング代表取締役 広瀬 元義
“黒字経営を実現する会計事務所の会”FANアライアンスを主宰。また、中小企業や会計事務所の経営コンサルティング、Webコンサルティング、出版事業等を手掛けている。著書は2007年年間総合19位(「日経ビジネス」調べ)の『イン・ザ・ブラック』(あさ出版)をはじめ、多数執筆。
[2008年3月14日] トップ特集


